両側声帯の前方1/3の部位(一番発声時に力がかかる部分)に好発するタコです。教師、歌手、営業職の方、居酒屋のホール担当の方など発声する機会が多く、声帯に無理がかかっている方に発症します。この時点までは適切な治療と声の安静によって元の声に戻りますが、短くとも1週間程度はかかります。
声帯結節を長く患い、ポリープ化してしまったものです。通常片側に存在しますが、さらに放置することで反対側にもポリープができてしまい、声嗄れが悪化することもあります。ポリープ化してしまったものは通常全身麻酔下での手術で切除しないと治癒しないとされていますが、手術後も傷の安定を図るために1~2週間発声を控える必要があり大変です。
声帯ポリープと名前は似ていますが、両側の声帯がブヨブヨにむくんでかなり声が嗄れている状態をいい、別の病気です。ほとんどが過剰な喫煙が原因となっているため、まずは禁煙を勧めますし、長く時間はかかりますがそれで改善する見込みもあります。改善が乏しい場合には全身麻酔下で「喉頭微細手術」を行いますが、両側の声帯を一度に手術すると、「声帯横隔症」といって前方が術後にカエルのヒレのように癒着(くっつく)してしまい声嗄れが残ってしまうため、片側ずつの手術になるか、術後に相当長い期間発声を控える必要があります。
年を重ねると皆さん声が嗄れてきますが、声優さんたちはいつまでも若々しい声を出すことができます。声帯溝症は、声帯が瘦せて奥の襞が見えてしまい、溝ができているように見えるものです。声帯は筋肉の塊ですので、腕でも脚でも使わないと劣化や萎縮を起こしますし、年を取るほどそのスピードが速くなります。日常的にしゃべる機会を増やして、声帯という筋肉の劣化を防ぎましょう。また、当院では行っていませんが、声帯にコラーゲン等を注入して治療する方法もあります。ご希望がありましたら紹介いたします。
特に原因がはっきりしないが、「のどになにかある気がする」「のどが詰まっている感じがする」という症状を呈するものです。まずは本当に病気がないか確認することが重要ですので、喉頭ファイバースコピーを用いてのどの奥を観察します。部位によっては甲状腺などの観察も必要となりますので頸部超音波(エコー)検査を一緒に行うことも可能です。ご相談の上、CTやMRI検査も追加で依頼します。特に原因がはっきりしない場合でも当院ではいくつも治療法を提示させていただきますので、安心してご相談ください。
声帯の後方、多くは左側にできる良性腫瘍です。原因は胃酸がのどまで逆流してくる咽喉頭酸逆流症という逆流性食道炎の一部の病態とされています。食道は体の左寄りにあることが多いため、喉頭肉芽腫も左後方によく発生します。胃酸を抑える薬やケロイドの改善薬、漢方薬等を用いて治療しますが、日常生活の改善でも軽快する可能性があります。晩酌をすると横隔膜が緩んで胃酸の逆流が起こりやすくなること、夕食を食べてすぐ横になるとお腹の圧力が上がって胃酸が逆流しやすくなることなど、心当たりがある方は生活改善してみてはいかがでしょうか?
ヒトパピローマウイルスがのどに付着し、ブドウの房状のいぼを作った状態です。場所により声嗄れ等の症状を起こしますが、無症状のまま健診で見つかる場合もあります。ヒトパピローマウイルスは200種類以上存在しますが、中に発癌性をもつものがおり、乳頭腫は切除を行うことを推奨します。切除を行っても飛び地のように何回も再発することもあり、治療に難渋する病気の一つです。
クループとは一般的に声帯の奥側(声門下といいます)に炎症を起こして腫れ、犬が吠えるようなケンケンという咳(犬吠様咳嗽)と呼吸の苦しさを起こしている状態を指します。(古くはジフテリア菌によるものを真性クループ、それ以外の原因菌によるものを仮性クループといいましたが、ジフテリア菌によるものはほとんど存在しないため、一般にクループと言われるようなっています。)専用の吸入ネブライザー治療を一日数回施行する必要がありますので、迷わずご相談ください。
かなり窒息の危険が高い状態です。喉頭蓋とは、声帯などを構成する喉頭の頭側にあり、空気と食事の通り道を振り分けるものです。窒息の危険が高いと判断された場合、気管切開術を行うことも考慮されるため、基本的には高次医療機関へ即紹介して即入院となります。アナフィラキシーショックや火事の際の気道熱傷で亡くなってしまうものの多くは、喉頭浮腫が原因です。
喉頭蓋に嚢胞(ふくろ)があり、通常は気づかないかのどの違和感がある程度で悪さをしていません。稀に感染源になって喉頭蓋炎の原因となったり、振り子状になって声帯を塞いでしまう危険性が高い場合には全身麻酔下での切除術の対象となります。